○武蔵野市産業振興条例
平成28年6月24日条例第32号
武蔵野市産業振興条例
武蔵野市は、商業及びサービス業を中心に、工業、農業等多様な産業が営まれる中で、生活の利便性の高い住宅都市として発展してきた。また、来街者を増やして地域経済を活性化すること及び市民が自らのまちの魅力を再発見することを目指し、都市観光を推進している。
都市がそれぞれの魅力を競う中で、武蔵野市が選ばれ、愛され、かつ、住み続けられる都市として発展していくためには、市内の産業に関わる全ての者が相互に協力し、地域社会と共生する活力ある産業の発展を促し、その発展を将来の世代に継承していかなければならない。
持続可能な社会の構築、市民の就労の機会の拡充、男女共同参画社会の実現及び少子高齢化、情報化、経済のグローバル化等への的確な対応を目指し、ここに本市の産業の振興に関する基本的事項を定め、市民の理解及び協力を得て、より豊かで、安全にかつ安心して暮らせるまちづくりを推進する。
(目的)
第1条 この条例は、産業の発展が地域の活性化に寄与するものであることに鑑み、武蔵野市(以下「市」という。)における産業の振興に関する基本的な考え方及び施策の方向性を定め、もって市民福祉の向上及び活力ある地域社会の実現を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 産業経済団体 武蔵野商工会議所、武蔵野市商店会連合会、東京むさし農業協同組合その他市内の産業の振興を図ることを目的とする団体をいう。
(2) 商店会 市内に存する商店街振興組合法(昭和37年法律第141号)の規定により設立された商店街振興組合、中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)の規定により設立された事業協同組合及び法人格を有しない商店会をいう。
(3) 事業者 市内で事業活動を行う者をいう。
(4) 商店街 商業、サービス業等を営む店舗が集積した区域をいう。
(5) 大型店舗 大規模小売店舗立地法(平成10年法律第91号)第2条第2項に規定する大規模小売店舗をいう。
(6) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者をいう。
(基本方針)
第3条 産業の振興は、次の各号に掲げる産業の区分に応じ、当該各号に定める方針に基づき、事業者の創意工夫及び自助努力の下に、市、産業経済団体、商店会及び事業者が相互に連携し、市民の理解及び協力を得ながら推進することを基本とする。
(1) 商業 良質な商品の安定的な提供により、市民の消費生活に寄与すること、並びに商店街が地域のにぎわいの場、地域における交流の場及び地域コミュニティ(
武蔵野市コミュニティ条例(平成13年12月武蔵野市条例第33号)第3条第1号に規定する地域コミュニティをいう。以下同じ。)の場として地域の活性化に寄与するよう、事業の規模及び形態にかかわらず、全ての店舗の共存共栄を図ること。
(2) サービス業 市民の生活上の課題の解決に資するサービスを提供し、生活の利便性の向上を図ること。
(3) 工業 技術の革新及び事業者間の連携の推進により、環境に配慮した持続可能なまちづくりに寄与すること。
(4) 建設業 技術の研さん及び工事の着実な施工により、まちの魅力の向上を図るとともに、安全で安心なまちづくりに寄与すること。
(5) 農業 新鮮かつ安全で安心な農産物を生産するとともに、緑の景観の形成、防災空間の確保、食育及び環境学習の場の提供等の多面的な機能を有する農地の保全を図ること。
2 産業の振興は、市民の就労の機会の確保及び勤労者の福利厚生の向上に配慮しつつ、多様な人材の活力を生かして推進するものとする。
3 市及び産業経済団体は、産業の振興に関する教育及び啓発活動の促進に努めるとともに、市域を越えた広域的な連携による産業の発展に積極的に取り組むものとする。
(都市観光の推進)
第4条 市内の産業に関わる全ての者は、まちの魅力を高めることで来街者を増加させ、にぎわいを創出することにより地域経済の活性化を図るため、連携して都市観光の推進に取り組むものとする。
(市の責務)
第5条 市長は、この条例に基づく施策を着実に実施するため、産業経済団体その他産業に関わる者と連携し、産業の振興に関する総合的な計画を策定しなければならない。
2 市は、産業の振興の基礎となる都市基盤の整備及び更新を推進するとともに、次に掲げる事業を実施するものとする。
(1) 中小企業者の経営改善に対する支援
(2) 商店街の活性化及び商店会の運営の安定化に対する支援
(3) 創業に対する支援
(4) 中小企業者における従業員の福利厚生の向上に対する支援
(5) 産業の振興に関する教育及び啓発活動に対する支援
(6) 前各号に掲げるもののほか、産業の振興のために特に必要と認められる事業
3 市は、前項各号に掲げる事業の実施にあたっては、国、東京都その他の地方公共団体、産業経済団体、商店会、事業者、教育機関等との連携協力に努めるものとする。
4 市は、産業の振興にあたっては、年齢、性別、障害の有無等にかかわらず、地域の多様な人材が活躍できる環境を整備するよう努めるとともに、産業経済団体、商店会及び事業者が、市民と協力して地域の活性化及び課題の解決のための活動を行うことができるよう支援するものとする。
5 市は、事業の実施に必要な物資、サービスその他のものについては、市内において調達するよう努めるものとする。
(産業経済団体の責務)
第6条 産業経済団体は、市内の産業基盤の高度化及び安定化の推進に努めるとともに、事業者、商店会等の活動に対する支援を行うものとする。
2 産業経済団体は、市と協力して産業の振興のための事業を実施し、もって地域の活性化及び課題の解決並びに市民福祉の向上に寄与するよう努めるものとする。
(商店会の役割)
第7条 商店会は、市民生活の利便性を向上させ、地域に密着したサービス等を提供するとともに、地域のにぎわいの場及び地域における交流の場を創出し、魅力ある商店街づくり及び安全で安心なまちづくりに協力するよう努めるものとする。
2 商店会は、その運営基盤を強化するため、商店会相互の連携及び会員の加入の促進に努めるものとする。
3 商店会は、地域コミュニティの場としての商店街の役割を認識し、地域の活性化及び課題の解決に寄与するよう努めるものとする。
4 商店会は、市及び産業経済団体が行う産業の振興のための事業に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第8条 事業者は、経営基盤の強化、就労環境の整備、人材の育成及び従業員の福利厚生の充実に努めることにより、健全な事業活動を行うものとする。
2 事業者は、地域社会の一員であることを自覚して、次に掲げる事項の実施に努めるものとする。
(1) 市民及び来街者の安全及び安心の確保並びにまちの魅力の向上につながる事業活動
(2) 市民生活の利便性の向上及び地域における課題の解決に対する協力
(3) 市民の雇用の促進
(4) 事業活動において必要な物資、サービスその他のものの市内における調達
(5) 商店会及び産業経済団体への加入
(6) 商店会及び産業経済団体が実施する地域の活性化のための事業への参加又は応分の負担による当該事業への協力
3 大型店舗その他これに準ずる店舗(以下「大型店舗等」という。)を設置する者、大型店舗等の運営管理を行う者及び大型店舗等において小売業を営む者は、その事業活動による地域経済への影響の大きさに鑑み、前項第5号及び第6号に掲げる事項の積極的な実施に努めなければならない。
4 直営方式によりチェーン展開している事業者並びに中小小売商業振興法(昭和48年法律第101号)第11条第1項に規定する特定連鎖化事業を行う者及び加盟者は、その市内に存する事業所が地域において果たすべき役割を自覚し、第2項第5号及び第6号に掲げる事項の積極的な実施に努めなければならない。
(市民等の理解及び協力)
第9条 市民及び市内の産業に関わる者は、産業の振興が地域の活性化及び市民福祉の向上に寄与することに鑑み、その振興に協力するよう努めるものとする。
2 市民は、市内の商店街等の利用及び市内産品の消費が地域の活性化につながり、ひいては安全で安心なまちづくりに寄与することに鑑み、市内の商店街等の利用及び市内産品の消費に配慮するものとする。
(委任)
第10条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
付 則
この条例は、平成28年7月1日から施行する。