○千代田区ワンルームマンション等建築物に関する指導要綱
昭和61年6月19日61千建建発第30号
千代田区ワンルームマンション等建築物に関する指導要綱
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 建築に際しての手続(第8条―第13条)
第3章 ワンルームマンション等建築物の仕様等(第14条―第24条)
第4章 建築工事完了後の手続(第25条―第28条)
第5章 補則(第29条―第31条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この要綱は、ワンルームマンション等建築物の建築及び建築工事完了後において発生する紛争を未然に防止するため、その建築計画及び管理等に関する必要な基準を定めることにより良好な近隣関係を保持し、もって地域における健全な生活環境の維持及び向上に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) ワンルーム形式の住戸
主として1の居室(建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)第2条第4号に規定する居室をいう。以下同じ。)からなる形式で、専用面積が30平方メートル以下の住戸をいう。
(2) ワンルームマンション等建築物
地階を含む階数が4以上で、ワンルーム形式の住戸を10戸以上有する建築物をいう。
(3) 建築主
ワンルームマンション等建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。
(4) 所有者等
ワンルームマンション等建築物の所有者(区分所有者を含む。)又は所有者から委託をうけてこれを管理する者をいう。
(5) 工事施工者等
ワンルームマンション等建築物に関する設計者、工事施工者及び工事監理者をいう。
(6) 建築
法第2条第13号に規定する建築をいう。
(7) 近隣関係住民
ワンルームマンション等建築物の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内に居住する者及び当該範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者をいう。
(8) 隣接関係住民
近隣関係住民のうち次のア又はイに掲げる者をいう。
ア ワンルームマンション等建築物の敷地境界線から10メートルの水平距離の範囲内に居住する者
イ ワンルームマンション等建築物の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内でかつ冬至日において真太陽時の午前9時から午後3時までに当該建築物の日影が及ぶ範囲内に居住する者
(適用範囲)
第3条 この要綱は、区内におけるワンルームマンション等建築物の建築に適用する。
(区長の責務)
第4条 区長は、ワンルームマンション等建築物の建築及び建築工事完了後において発生する紛争を未然に防止するように努めなければならない。
(建築主及び所有者等の責務)
第5条 建築主及び所有者等は、紛争を未然に防止するため、この要綱に定める事項を遵守するとともに、良好な近隣関係を形成・保持するよう努め、紛争が発生した場合には、誠意をもってその解決にあたらなければならない。
2 建築主及び所有者等は、その建築、所有又は管理するワンルームマンション等建築物の住戸の入居者に対し、住民登録を行うように指導に努めなければならない。
3 建築主及び所有者等は、その建築、所有又は管理するワンルームマンション等建築物の住戸を、住宅以外の用途に転用しないよう努めなければならない。
4 建築主及び所有者等は、その建築、所有又は管理するワンルームマンション等建築物の入居者に対し、町会等の地縁団体に加入するように指導に努めなければならない。
(入居者の責務)
第6条 ワンルームマンション等建築物の入居者は、当該建築物の維持管理を適正に行うとともに、第24条の使用規則等を遵守し、良好な近隣関係の形成に努めなければならない。
(工事施工者等の協力義務)
第7条 工事施工者等は、第5条に規定する建築主及び所有者等の責務を認識し、建築主及び所有者等とともに紛争の防止及び解決に努めなければならない。
第2章 建築に際しての手続
(建築計画の届出及び協議)
第8条 建築主は、ワンルームマンション等建築物を建築しようとするときは、別に要領で定める日までに、この要綱に定める基準についての建築計画を区長に届け出なければならない。
2 区長は前項の規定による届出があった場合は、当該建築計画について審査し、この要綱に定める基準に適合していないと認めるときは、当該建築主に対して必要な措置をとるよう要請することができる。
3 建築主は、別に要領で定める日の前日までに、第1項の規定により届け出た内容について、区長と協議しなければならない。
(標識の設置等)
第9条 建築主は、ワンルームマンション等建築物を建築しようとするときは、近隣関係住民に建築計画の周知を図るため、当該建築敷地の見やすい場所に、別に要領で定めるところにより標識を設置しなければならない。
2 建築主は、前項の規定により標識を設置したときは、速やかにその旨を別に要領で定めるところにより、区長に届け出なければならない。
(説明会の開催等)
第10条 建築主は、ワンルームマンション等建築物を建築しようとする場合において、建築計画の内容について、隣接関係住民に説明会等の方法により説明しなければならない。
2 建築主は、ワンルームマンション等建築物を建築しようとする場合において、近隣関係住民(隣接関係住民を除く。以下本項において同じ。)からの申し出があったときは、建築計画の内容について説明会等の方法により、近隣関係住民に説明しなければならない。
3 前2項の規定により、説明会を行う場合の周知方法及び説明会等で説明しなければならない事項は、別に要領で定めるものとする。
4 建築主は第1項及び第2項の規定により説明会等を開催したときは、速やかにその内容について別に要領で定めるところにより区長に報告しなければならない。
(協議の成立)
第11条 区長は、建築主から第9条第2項及び前条第4項による報告を受け、第8条第3項の規定による協議が成立したときは、別に要領で定めるところにより協議書を作成し、双方1通ずつ保管するものとする。
(建築主の変更)
第12条 第8条第3項の規定による協議の成立後に建築主が変更される場合には、当該協議における建築主の地位は、変更後の建築主が承継するものとする。
2 建築主の地位を承継した者は、その旨を区長に報告しなければならない。
(建築計画の変更の届出及び協議)
第13条 建築主又はその地位を承継した者(以下「建築主等」という。)は、この要綱に定める基準に係る建築計画の変更をしようとする場合は、あらかじめ変更をしようとする建築計画を区長に届け出て、協議しなければならない。
2 前項の規定による協議については、第8条第2項、第11条及び前条の規定を準用する。
第3章 ワンルームマンション等建築物の仕様等
(住戸の専用面積)
第14条 ワンルームマンション等建築物における各住戸の専用面積は、25平方メートル以上でなければならない。
(ファミリー向け住戸の設置)
第15条 建築主等は、当該ワンルームマンション等建築物の住戸の総戸数が20以上となる場合には、ファミリー向け住戸(専用面積が40平方メートル以上の住戸をいう。)の専用面積の合計が、住戸の専用面積の合計の3分の1以上となるようにしなければならない。ただし、当該建築物の住戸の入居者の全部又は一部が生活上の指導又は援助等を受けながら共同生活を営む住戸並びに高齢者及び身体障害者等の円滑な使用に配慮した構造及び設備等を有する住戸があるときは、当該住戸部分は、戸数及び専用面積の合計からは除くものとする。
(隣地からの壁面後退)
第16条 都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に規定する第一種住居地域及び第二種住居地域において建築をしようとする建築主等は、ワンルームマンション等建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から隣地境界線までの距離を50センチメートル以上確保するよう努めなければならない。
(空地の確保及び緑化の推進)
第17条 建築主等は、ワンルームマンション等建築物の敷地内に空地を確保するとともに、建築物及びその敷地を緑化するよう努めなければならない。
(ゴミ保管施設の設置)
第18条 建築主等は、ワンルームマンション等建築物又はその敷地内に、別に要領で定める基準に従い、ゴミ保管施設を設置しなければならない。
(駐車施設の付置)
第19条 建築主等は、ワンルームマンション等建築物又はその敷地内に、別に要領で定める基準に従い、自動車、自動二輪車、原動機付自転車及び自転車のための駐車施設を設置しなければならない。
(周辺の生活環境への配慮)
第20条 建築主等は、周辺の生活環境に配慮し、防音、防振、防熱、防臭及び近隣の住民のプライバシー保護その他要領で定める措置をとらなければならない。
(管理人室の設置)
第21条 建築主等は、ワンルームマンション等建築物に、別に要領で定める基準に従い、管理人室を設置しなければならない。
(管理人の設置)
第22条 建築主等又は所有者等は、ワンルームマンション等建築物に、別に要領で定める基準に従い、管理人を設置しなければならない。
(緊急連絡先等の表示)
第23条 建築主等又は所有者等は、ワンルームマンション等建築物に、別に要領で定める基準に従い、緊急連絡先等の表示板を設置しなければならない。
(使用規則等)
第24条 建築主等又は所有者等は、別に要領で定めるところにより、あらかじめ建物の使用規則等を作成し、居住者に遵守させなければならない。
2 建築主等又は所有者等は、前項に規定する使用規則等を区長に提出するものとする。
第4章 建築工事完了後の手続
(工事の完了の届出及び調査)
第25条 建築主等は、ワンルームマンション等建築物の建築工事が完了したときは、別に要領で定めるところにより、区長に届け出なければならない。
2 区長は、前項の規定による届出があったときは、区職員のうちから区長が指定する者に、この要綱に定める基準に係る適合状況について調査をさせることができる。
3 前項の規定による調査を行う場合において、当該ワンルームマンション等建築物及びその敷地内に立ち入るときは、あらかじめ建築主等の承諾を得なければならない。
(建築主等に対する要請)
第26条 区長は、前条第2項の規定による調査により、当該ワンルームマンション等建築物がこの要綱に定める基準に適合していないと認めるときは、建築主等に対し、この要綱に定める基準に適合させるために必要な措置をとるよう要請することができる。
(適合証の交付)
第27条 区長は、第25条第2項の規定による調査により、当該ワンルームマンション等建築物がこの要綱に定める基準に適合していると認めるときは、建築主等に対し、これらの基準に適合していることを証する証票を交付するものとする。
(維持管理報告)
第28条 所有者等は、別に要領で定めるところにより、ワンルームマンション等建築物の管理の状況を区長に報告するものとする。
第5章 補則
(勧告)
第29条 区長は、建築主等が第8条第1項又は第13条第1項の規定による届出又は協議を行わないときは、当該建築主等に対し、届出又は協議を行うよう勧告することができる。
2 区長は第26条の規定による要請を受けた建築主等が当該要請の全部又は一部を受け入れないときは、当該要請を受け入れるよう勧告することができる。
(条例との関係)
第30条 ワンルームマンション等建築物で、
千代田区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例(昭和53年千代田区条例第22号。以下「区条例」という。)又は東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例(昭和53年東京都条例第64号。以下「都条例」という。)の適用を受けるものにあっては、次の各号に定めるところによる。
(1) 第9条第1項に規定する標識は、
区条例第5条第1項の標識又は都条例第5条第1項の標識に、この要綱の規定による設置であることをあわせて表示することをもって、その設置があったものとする。
(2) 第10条に規定する説明会等は、
区条例第6条第1項及び
第2項の説明会等の開催又は都条例第6条第1項の説明会等の開催と同時に行うことができる。この場合において説明すべき事項は、第10条第3項の規定を準用する。
(3) 第9条第2項及び第10条第4項に規定する報告は、
区条例第5条第2項及び
第6条第3項に規定する報告並びに都条例第5条第2項及び第6条第2項に規定する報告とは別に、別に要領で定めるところにより行うものとする。
(委任)
第31条 この要綱の施行について必要な事項は、別に要領で定める。
附 則
1 この要綱は、昭和61年7月1日から施行する。
2 この要綱の施行の日において、既に建築確認申請中の建築物又は建築確認後であっても工事完了前の建築物については、可能な範囲においてこの要綱を適用する。
附 則(平成14年11月25日14千ま住発第348号)
1 この要綱は、平成15年1月1日から施行する。
2 この要綱の施行の日において、既に建築確認申請中の建築物又は建築確認後であっても工事完了前の建築物については、可能な範囲においてこの要綱を適用する。
附 則(平成16年8月1日16千ま住発第172号-1)
1 この要綱は、平成16年8月1日から施行する。
2 この要綱の施行の日において、既に協議が完了し、確認済証の交付を受けている建築物については、なお従前の例による。
附 則(平成22年4月20日22千ま建指発第11号)
1 この要綱は、平成22年8月1日から施行する。
2 この要綱の施行の日において、既に協議が完了し、確認済証の交付を受けている建築物については、なお従前の例による。